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〜 陸上選手メッセージ 〜 今井 裕二さん

今井 裕二さん 神戸新聞社 提供
陸上を始めたきっかけはなんですか?

 陸上は中学の頃からやっていましたが、高校の時に目の病気のためドクターストップがかかり、一度は陸上を断念しました。22歳から盲学校に通うようになりましたが、そこで全盲で陸上をやっている同級生に出会い、その影響を受けて再び陸上を始めることにしました。目が見えなくなったら、まったく競技はできないものと思っていたのですが、工夫次第でいろんなスポーツができることを知りました。

他にもいろいろスポーツがある中で、なぜ陸上を選ばれたのですか?
昔からやっていたというのもあると思いますが・・・。その魅力はなんなのですか?

 陸上というのは、自分の努力の結果がはっきりタイムとなって表れます。自分ががんばればタイムは上がるし、さぼればタイムは悪くなります。目に障害があるということは抜きにして、自分がどれだけがんばれるかやってみたいと思いました。

これまではどういう大会に出られましたか?過去パラリンピックにも出場されたそうですが。

 確かに、シドニーパラリンピックにも出場した経験はあります。でもこれからは、自分自身のそういった大会への出場を目指すよりは、より多くの人たちに障害者スポーツを知ってもらうための門戸を開くこと、さらには、障害を持つ若い人たちが出て行きやすい場を整えていくことに重点を置きたいと考えています。最近になって、一般の大会においても、だいぶ障害をもつ人が出場できるようになってきました。

自分の記録だけを追求していくことはしないということですか?

 今後何らかの大会に出られれば、もちろん記録は追求していきます。しかし一般の大会で、障害者が出場できない大会があるというのは、大きな壁になります。自分自身は目が見えなくなる以前から陸上をしていました。周りに迷惑をかけないのであれば、健常者・障害者関係なく一緒に一つの大会に出るのが、自然なことだと思っています。練習するときは、健常者も障害者も同じ場所で同じように汗を流しているのに、大会となるとそれぞれを区別してしまうということに、以前から疑問を感じています。
 しかしそういった状況も少しずつよくはなってきているので、まずは自分がいろんなところに出て行って、多くの人に自分が競技している姿を見てもらいたい、そして理解を深めて欲しいと思っています。

これまで陸上競技をしてきて、一番嬉しかったことはなんですか?

 初めての国際大会である1998年のIBSA世界選手権において、三段跳で銅メダルをとったことが一番印象的です。また、翌年のフェスピックバンコク大会の三段跳では、ついに優勝することができました。大逆転の末での優勝だったので、これまでにないほど嬉しかったです。

今井さんは、走りが専門というわけではないのですか?

 主に三段跳と走幅跳で、10年間やってきました。ここ1年ほどは短距離種目にも力を入れています。

跳躍と短距離種目では、鍛え方は違うのですか?

 必要な筋肉が違うので、少し鍛え方も変わってきます。特に視覚障害者が跳躍をする場合は、着地の衝撃に慣れるのにトレーニングを重ねる必要があります。目で見て着地を予測する、ということができないので、心理的負担が結構大きいのです。また踏切についても、練習を重ねないとタイミングをつかむことができません。

そのあたりが、健常者との陸上とは大きく違うのでしょうね?

 視覚障害者が走る時は伴走者が、跳躍の時はコーラー(踏切の際のコール役の人)が必要です。伴走者やコーラーとはそれぞれ深い信頼関係が要求されます。その人自身に陸上の経験があればやりやすいですが、それでも互いの呼吸や、微妙なタイミングが合っていないと難しいです。

今後の目標は?

 障害者の大会だけでなく、一般の大会にもどんどん出場していきたいです。まず、一般の人たちに障害者スポーツについて知ってもらうことこそが大事だと思いますので。



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